visiting student系の準備
研究計画の準備、受け入れ教員の了承、ファンドの確保の3つは前提として、それ以外の細々とした準備にどのようなものがあったか、備忘録。
まず頭を整理するために項目を分けることを意識した。はっきりいって、懸念事項を枚挙することさえできていればあとは必要な行動をとるだけなので、(思い通りにいかないこともあるかもしれないが、)やり方がわからないという意味での難しさを感じることはない。やり方がよくわからないときはとりあえず枚挙が大事だ。
1. 宿泊先
2. 大学内でのアプライ基準の突破
3. ファンドの振込の調整
4. 航空券
5. ヴィザ関係
6. 保険加入
7. 大学/学振での手続き
私の懸念事項は、大まかにいうとこの7つに分けられる。主観的な心配が大きい度合いに並べてみた。
1. 宿泊先
まず宿泊先の確保が最大の懸念であった。これは大学によるだろうが、ブリストル大学はvisiting scholarにはaccomodationを手配してくれないので、自力で探す必要があった。レギュレーションがどうなっているのか、大学の関連ページを読み込むのが吉。
ここでかなり困った。というのは日本以外の国で家を探したことがないので、そもそもどのような情報源があるのかがわからなかったのである。情報源さえわかっていればあとは必要だったり関係のある箇所を特定すればいいだけだが、そもそも情報源がわからないという状況は不安をもたらす。この経験から私は、何か新しいことに踏み出す際の不安は、「情報源の情報源」を自分で整備できれば解消される、という考えに至り、以後数回このメソッドを使ってきているのだが、これについては別稿に譲る。
最終的に選択肢を、(1)airbnb、(2)シェアルーム仲介サイト、のどちらかに絞り込んだ。そもそもイギリスは家賃が信じられないほど高く、日本との比較はおろかヨーロッパ内でも極めて高い部類に入る。なので1人で住むことは諦めてルームシェアを基本路線とした。しかし(2)は内見だのなんだのの過程があり、はじめて海外に1ヶ月以上滞在する私にはハードルが高かったので、とりあえず(1)のairbnbから試してみることにした。やり方を決めたらとりあえず試すというのも大事だ。
本当にドキドキしたが、4ヶ月の滞在を受け入れてくれるホストが見つかった。しかも運のいいことに、レビューを見る限りこの物件は留学生のゲストが多く、ホストも留学生の受け入れに慣れているようで、加えて家賃もブリストルでは最低ラインであった(それでも月14万だけど)。ただ、当初予定していた渡航開始は12月だったのだが、空きがあるのが2月からだった。どうしようと思ったが、あまりにも条件が良く、現状の私のキャパシティではこれ以上の物件には出会えない気がしたので、渡航時期自体を後ろ倒しにしてしまった。受け入れ教員も寛容な人なので了承してくれた。これも恵まれていた。
2. 大学内でのアプライ基準の突破
この件についても大学によるとは思うが、ブリストルの私の在籍した学部(School for Policy Studies)では受け入れ開始までにIELTS Overall 7.0 with 6.5 in each skill が求められていた。これくらいは余裕っしょと思って全く何も勉強せずに受けた11月の試験で予想外に突破できず、さらに悪いことにその後体調不良になり、また別の投稿論文の締め切りもあったりして、そうしているうちにさらに億劫になっていき、結局再受験したのが出国の2週間前くらいになってしまった。そこで無事クリアできたのだが、ここまでバタつくと受け入れ教員に心配をかけ、大学の事務を急がせ、私自身の心身にも負担がかかるので、本当によろしくない。
これはIELTSで点を上げる方法がわかっていなかったという事情がある。やってみてわかったが、この手の試験は受験勉強よろしくパターン処理的なところがあるので、ものの本やサイトで問題のパターンの分類を覚えて、それに応じた対処法を整理し、あとは時間の限り練習すればよい。実際、スピーキングが最大の課題だったのだが、3日ほど集中的に過去問を練習したら1.0分上がってしまった。
3. ファンドの振込の調整
これも結構頭を悩ませた問題であった。ファンド自体は取っていたが(特別研究員奨励費)、振込の申請がなかなかできなかった。というのは、語学基準を突破できないと大学から正式なオファーレターが届かず、オファーレターがなければ科研費執行の申請ができないからである。さらに、科研費執行ができなければ旅費の事前決済ができずに一時的に持ち出しになる。このような因果経路で、私の懐は傷み、一時的に持ち出し額が貯金額を超え、親に事情を話して借金することになった。貸してくれてありがたいと思いつつも、私は親のスネをかじることにはほとんど抵抗がないのだが、それでも、人に借金をしているというのは返済という未実行のタスクが常に脳裏にちらついている状態になるので脳に悪い感じがしてこれもあまりよろしくなかった。
4. 航空券
これもオファーレターが来ればその時点でチケットを買って、科研費事前決済に回せたのだが、語学基準突破の遅れに伴い、事前決済が難しいと判断した時点で自腹で買った。これは普通であればタスクのうちにも入らないような用事ではあるのだが、私の語学へのreluctanceにより頭を(というか懐を)痛ませるファクターとなってしまった。
ブリストルはヒースローからはそんなに遠くないので、ヒースロー発着に絞って行きをエティハド、帰りをエアチャイナにしたのだが、エアチャイナは公式サイトではなくエージェント経由で航空券を買うと公式ページでブッキングを管理できないという仕様になっており、座席指定等をわざわざ電話でしないといけなくなる。それを知らずにexpediaで買ってしまった。私の場合、北京でのトランジットホテルも予約が必須なので、なおさら面倒である。まだやっていない。エアチャイナは公式から買うがよろし。
5. ヴィザ関係
イギリス研究滞在のよいところは、日本国籍の場合、6ヶ月未満であればヴィザ申請なしで入れるというところである。ここら辺の基準は受け入れ国と渡航者の国籍の組み合わせ、および、研究滞在の種類で決まる。まず、イギリスは日本ならびにアングロサクソンやヨーロッパの国々、シンガポール、韓国等の国籍に対してはヴィザなしで半年までの滞在を認めている。また、研究でも正規留学になると学生ヴィザを取る必要があるのだが、共同研究や調査目的だと不要なようだ。ただ、出国直前、今年の1月にETAなる事前申請が必要になった。イギリスに行く際のタスクは実質これだけだった。スマホで10分くらいでできる。
6. 保険加入
京大の割引価格で提供している海上日動のプランに入った。4ヶ月で4万円くらい。これも持ち出しだと馬鹿にならない。
7. 大学/学振での手続き
海外渡航関係は色々申請書類が多い。学振DCの場合、渡航期間が29日以上になると1ヶ月前までの申告が必要。所属大学に出す方が数としては多く、1)海外渡航届、2)出張システム登録、そして3)科研費申請と3つほどある。学振のと合わせると4つは最低でも提出書類があるということになる。ただこれはインストラクションがあるので書き方に困るということはない。しかし私は学振への事前申請を忘れていた。これも語学基準突破の遅れで直前まで本当に渡航できるかわからなかったからに他ならない。
ここまで書いてきたが、私の場合、語学基準突破の遅れが明らかにボトルネックになっていた。それは、1)正式に行けるかわからないので書類申請が遅れる、2)研究費決済ができないので手元の資金がなくなっていき付随するタスクに支障が出る、3)脳内のキャパシティが減少し、他の側面での情報収集が遅れる、というような経路で、自分で自分の首を絞めることとなった。3)に関しては、学振の事前渡航申請を忘れていたのとエアチャイナに公式から申し込まなかったという地味に痛いミスも招いた。語学基準がある場合は是非とも早めに突破しておいたほうがいい。集中的に勉強期間を設けて確実に狙ったラインを超えてから他のタスクに取り掛かるのが理想だ。
ただ、意外といい物件に出会えたり、語学基準突破が遅れたにもかかわらず大学が大急ぎで事務処理してくれたり、教員に恵まれていたり、親が金を貸してくれたり、行ってみたら人々が親切だったり、という望外の幸運もあった。正直なところ現地に来てからのほうが全然楽である。イギリスとかブリストルについてもまた何か書きたいと思う。
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